蘇れ、C11 260号機!
〜〜〜静態保存蒸機 修復作業の全貌 〜〜〜

 先日、直方市石炭記念館に展示中のコッペル32号機の修復作業を終えたばかりですが、
お隣の中間市・垣生(はぶ)公園に静態保存されているC11形蒸気機関車 260号機の修復を行う事となりました。
作業完了の目標は『桜の花が咲く頃』だそうです・・・が、この機関車も先のコッペル機に負けず、色々と「問題」を
抱えているようです。さて、一体どうなるのでしょうか?


修復前のC11形蒸気機関車 260号機。一見、コンディションは悪くなさそうですが・・・ 

 

<修復作業 ドキュメンタリー>

「項目」をクリック頂くと、修復のようすをご覧頂けます。
項 目 内 容
0.修復前の状態 一見コンディションはそれほど悪くなさそうに見えた車両ですが、よく見るとあちらこちらに問題が。
特に運転室部分の傷みは想像以上で、これまでに修復を手掛けたどの車両よりも厳しい状態で
ある事が判明しました。いきなり大きな課題を突き付けられての修復着手となりました。
1.基本的な修復 比較的コンディションの良い部分から作業に着手しました。
元の塗装を剥離(ケレン作業)し、改めて錆止めを塗布して下地作りを行っていきました。
2.左側面の修復 左サイドタンク部分は腐食こそ殆どありませんでしたが、表面の凸凹が酷く、そのままでは美しい
仕上がりが見込めない事から、パテを用いて表面を平滑化しました。
見た目以上に凸凹の差が大きく、パテ盛りと研磨を数回繰り返し、ようやく仕上がりました。
3.腐食部の修復(1) 前面下部/煙突基部/ボイラー左後部などは、腐食が進み鉄板に穴が開いていました。
これらの穴を、FRPやパテを用い、修復した跡が分からなくなるように表面を平滑に仕上げました。
4.腐食部の修復(2) 右側タンク下部や屋根肩の腐食は激しく、FRPやパテで塞げるレベルではありませんでした。
そこで、腐食部分を切り取って新たに鉄板を溶接するという「手術」を行いました。
5.運転室の修復 本機の「最重症」部分。床板や側板の腐食も激しいものでしたが、それ以前にこれらを支える
「骨組(フレーム)」が腐食により失われているという、危機的な状態でした。
結局、骨組から新たに作り直すという、それこそ「大手術」となりました。
6.ヘッドライトの修復 ヘッドライトケースは残っていただけでも奇跡ではありましたが、実態はかなりの部分が腐食して
しまっていました。形状が失われた部分の補修は、あっと驚く(?)方法で行われました。
また、レンズは新たに作成、勿論ちゃんと点灯するようにしました。
7.無いモノは作る ヘッドライトのレンズ以外にも運転室の側窓や区名札差し、ナンバープレート類なども新規に作成
しました。ナンバープレート類は本物と同様の真鍮製と、拘りぬいています。
8.漆黒の車体へ 錆止めの赤で塗られた車体が、ようやく本来の「漆黒」に戻る時がやってきました。
美しい仕上がりのために、塗装もいっぺんに行うのではなく、入り組んだ部分などは刷毛などで
手塗り。その後エアブラシを用いた吹付け塗装を行い、漆黒の輝きを取り戻しました。
9.最後の仕上げ・・・? 車体の修復はほぼ完了しましたが、肝心の「足下」が汚れたままでは格好がつきません。
という訳で、敷設された線路部分の砂利入れ替えや周囲の清掃を行いました。

<そして・・・平成25年3月31日>

中間市長も参加しての「リニューアル記念式典」が行われました。

午前10時より記念式典がスタート。
松下・中間市長よりご挨拶を頂きました。
ケーブルテレビ(J−COMさん)が取材に来ていました。
前面ナンバープレートの取り付け式。
中間市長の手で最後のボルトが締められて行きます。
プレートが取り付けられて、真の「修復完了」となりました。
これを祝って「汽笛吹鳴」を行いました。
汽笛は、汽車倶楽部が保有していたものを作動するように
整備の上、譲渡する形で取り付けさせて頂きました。

工事用の大型コンプレッサーを運び込んで接続、一帯に
美しい汽笛音が響き渡りました。
この日は、SLリニューアルを記念してミニSLも登場。
子供たちに大人気でした。

<それでは、蘇った雄姿をどうぞ>


修復を終え見事に蘇ったC11 260。熊本時代の「緑ナンバー」が誇らしげにも見えます。

 

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