【蒸気機関車59647 修復保存のいきさつ】

 蒸気機関車が引退して四半世紀が過ぎ、当時のSLブームのさなか、各地の自治体などに無償貸与された多くの蒸気機関車が、現在崩壊の危機に直面しています。
 その主な要因は、保存車両を誘致したり手入れをしていた方たちの世代交代や、バブルの崩壊、経済の縮小、そして高齢化社会の到来などで、人々の心の余裕が乏しくなるのに連動するかのように保存車両に対する関心や愛着も薄れ、あるものは解体され、またあるものは放置状態で荒れ果てて行くばかりです。
 以下に、保存車両が崩壊に至るであろう具体的な要因をまとめてみました。

  1. 管理している自治体等が、保守は続けているものの、持て余していたり財政上の負担になっている。
  2. 管理している自治体等で、保守する方が高齢や死去等で放置状態になっている。
  3. 管理している自治体等が、保守のための予算が計上できず、放置状態になっている。

 1975年に直方市に無償貸与された59647も例外ではなく、このまま放置すれば解体という運命が待っていたことは否定できません。
 そこで、汽車倶楽部が直方市と九州旅客鉄道株式会社に請願し、両者の協力を得て汽車倶楽部に再度、無償貸与ということで話しがまとまりました。
 その際、汽車倶楽部への再貸与に伴い、保存場所を現在の場所に移し、可能な限りの修復工事を行いました。
 59647の現在の管理状態は以下のとおりです。

●●・所有者…九州旅客鉄道株式会社
●●・管理者…汽車倶楽部

 現在、日本各地の保存車両には定期的に手入れを行い大切に保存されている車両もありますが、多くの保存車両は荒廃が進んでいます。その中で、とりあえず59647はその危機から救出できたと汽車倶楽部では考えています。そして、汽車倶楽部と同じように鉄道車両や鉄道施設などを鉄道文化財ととらえ、同じ考えを持った方たちが崩壊に直面する各地の保存車両を救うべく行動に出ることを願っています。
 以下に、その際、クリアしなければならないと思われる点をあげておきます。

  1. その保存車両が、現状で修復可能な傷み具合でとどまっている。
  2. 管理している自治体等が、新たな管理者のために各鉄道会社への返還に応じる。
  3. 各鉄道会社が新たな管理者への再貸与に応じる。
  4. 新たな管理者に、その車両を修復しそれを維持できるだけの用意がある。

 以上、どれも非常に困難をともないます。また、「人」、「もの」、「金」、「情報」、といった、通常の企業に要求される条件を必要とします。しかし、明治以降、日本の発展に大きく貢献した交通手段として、特に筑豊および北九州地区での石炭産業に不可欠だった蒸気機関車を中心とした鉄道を、文化財として後世に残すことはたいへん意義のあることだと汽車倶楽部は考えます。

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